教師あり学習理論の展開 : 小脳機能の解明にむけて(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
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概要
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目標に向かう手先の到達運動や眼球運動サッカードは終端の分散を示す.関連する小脳皮質が障害されたサルではこの分散が激増する.分散を減少させるように小脳皮質の出力が小脳核の活動を調節していると考えられるが,この小脳皮質は末梢からの信号ではなく運動中枢・上丘から信号を強く受けている.一般に末梢で生じたノイズの影響をフィードバック制御で軽減することは可能であるが,運動をドライブする中枢自身に生じた変動を抑制するには新しい制御が必要である.小脳皮質は教師あり学習を行う神経回路として知られているが,本論文は小脳皮質回路に即して新しい教師あり学習を展開する.この理論ではゴルジー顆粒細胞系は入力信号の強度を場所符号化して,平行線維集団の活動状態として表現する.この信号群の適切な荷重和をとれば,小脳皮質は任意の入出力関係を実現できる.この柔軟な学習と計算の機能をサッカードの振幅適応の枠組みに適用すると,小脳皮質が運動指令の変動を検出して前向き制御で終端分散を抑制するという新たな制御様式が明らかとなる.
- 2012-04-01