701 気相化学反応による珪酸塩鉱物の核生成実験(セッション7)
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概要
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近年の赤外天文観測により、星間塵の構成要素としていわゆる"Astronomical Silicate"の存在が明らかにされた(ex. Molster et al.1999.)。これらの鉱物微粒子は高温、低圧下における気相からの非平衡な蒸発・凝縮過程を経て生成したと考えられるが、その生成メカニズムには不明の点が多く、実験的アプローチが不可欠である。そこで本研究ではマイクロ波加熱装置(到達温度6000K、Nakazawa et al.(1994)を用い、石英ガラス及びPericlase(MgO)粉末を蒸発し、得られた凝縮物を種々の手法により分析した。電子顕微鏡観察及び特性X線元素マッピングから凝縮物の組成はMg:Si原子数比で1:5であることがわかった。図1に凝縮物およびアモルファスSiO_2、Forsterite成分比80%のOlivineの赤外拡散反射スペクトルを示す。ピーク位置の一致から凝縮物はアモルファスSiO_2およびForsteriteの混合物と考えられる。凝縮物のスペクトルに対するアモルファスSiO_2およびForsteriteの寄与を最小二乗法により求めたところ、その寄与率の比はほぼ1:2である。凝縮物におけるアモルファスSiO_2の髯状構造の直径0.5μm、および吸収強度と粒径との反比例関係を仮定すると、今回得られたForsterite微粒子の粒径は0.1μm程度と見積もられる。また、電子線回折像の解析の結果からも、Forsteriteの存在が確認されたが、Periclaseは見出されなかった。これらの結果から、今回の実験において得られたForsterite微粒子は、蒸発気体中におけるSiO_2とMgOの化学反応により生成したと結論される。
- 日本惑星科学会の論文
- 1999-11-13
著者
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