吉野作造の帝国主義批判と植民地論
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概要
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本稿は,吉野作造の朝鮮論・台湾論など植民地に関する論説を取り上げ,1910年代から20年代前半にかけて,どのような形で東アジアの民族運動を理解しようとしたのかを検討するものである。第一次世界戦争が始まると,吉野は逸早く植民地統治批判論を発表し,後には,民族自決を承認する立場から帝国主義批判を展開した。吉野の植民地論は,植民地の政治的独立を主目的とする議論ではなかったが,彼の主張には,従来の同化主義政策を否定しながら,植民地の自立要求に応えて自治を承認することで,本国と植民地の提携を模索し,帝国秩序を再編するという議論の方向性を見て取ることができる。ここでは,第一に,第一次世界戦争期の吉野の植民地論を取り上げ,その中心に位置する同化主義批判の思想的意味について検討する。第二に,世界戦争終結前後の吉野の国際認識を検討すると同時に,それが帝国秩序の再編論に及ぼした影響を考察する。第三に,三・一独立運動をきっかけとして,吉野が「興国的朝鮮」の存在を認め,植民地の民族運動の要求に応えることから,日本政府への批判を強めていく過程を検討する。第四に,1920年代前半の植民地論を検討することから,吉野の議論の射程を明らかにする。
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