生活改善言説の特徴とその変容 : 生活改善同盟会の改善事項を中心に
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概要
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本稿の目的は,生活改善同盟会の改善事項の分析によって,1920年代の生活改善言説の特徴を明らかにすることである。結論として以下の8点が導かれる。(1)生活改善言説は,無駄と節約,旧弊と合理,弛緩と緊張,日本と欧米などの二項対立構図で貫かれている。(2)生活水準の向上ではな く,もっぱら生活様式の改善に傾注される。(3)生活改善の担い手は都市の「中流階級」を中心に想定されている。(4)衣食住それぞれに多くの改 善項目が列挙されるが,項目相互の関連や全体像は明らかではない。(5)しかし非整合的な項目の列挙は,「中流階級」以下の階層が項目内容を部分的に取り込むことを可能にした。(6)住宅改善の言説は,論理性と階層性において,生活様式の西洋化を主導する。(7)社交儀礼に関して羅列さ れる膨大な改善項目は,細かな注意と禁止の言説で占められ,生活改善の方向性を示せない。(8)生活改善言説には1930年前後から修正や変化の 兆しが認められ,やがて生活改善中央会の「非常時局對應生活改善實行要目」では明らかな変質を遂げる。
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