環境ガバナンスの変化に関する実証的研究 : 「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」2011年改正を事例として
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概要
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環境政策のガバナンスは,グローバル,ナショナル,そしてローカルの各々のガバナンス関係の中で変化しつつある。環境政策は政府による強い政策統合が実現しにくい分野であり,さまざまなステイクホルダーが活躍するために,政府以外のアクターを加えた水平的なネットワーク型の決定過程,すなわちガバナンス状況が生まれやすいともいえる。しかしそのアクターの行動様式やネットワークの性質は,必ずしも固定的ではなく,常に変化しやすく,政策決定にも大きな影響を与えている。こうした環境ガバナンスの諸相を明らかにするために,本稿では,琵琶湖レジャー利用適正化条例の2011年改正の過程を事例として取り上げる。この改定は,従来の利用調整的な政策から,環境保護型の規制政策に踏み込む一面を持っているが,そうした政策変化が生まれる背景には,琵琶湖を巡る環境ガバナンスの変化が端的に示されているといえる。この条例自体は2002年に制定されており,当初から琵琶湖環境の総合保全を目指してプレジャーボート使用の制限や外来魚リリース禁止を定め,従来にはない環境政策手法として様々な論争を呼んだ。その規制強化に至った事例の分析に基づき,利害関係を持つアクターの変化,ネットワーク変化,そして政策の変更について検討することで,ローカル・ガバナンスの変化が,グローバルとナショナルのガバナンス変化の下に置かれていること,その一方では自立的な政策ネットワークとしてそれ自体は機能していること,そこでは多元的で価値対立的なステイクホルダーの参加が見られること,その討議の中で政策決定がなされている諸相があることを,本稿では明らかにしている。
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