看護学生における職業社会化と職業意識の関係性
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概要
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専門職といわれている看護師は就職前の基礎教育期間中に、職業社会化を促進する機能が働いている。だが最近は他の職業と同様に離職率が増加するという状況が現出している。職業社会化とは、個々人がその職業における価値や規範を受け入れ内面化しながら、その職業に特有の知識や技術を習得し、自己概念をその職業へ同一化させ職業アイデンティティを形成していく過程のことである。本研究は看護基礎教育において「専門職としての社会化」はどのように促進されているのかを明らかにするために、看護学生の「職業志向性」に着目して、1年生と2年生の職業意識の違いを抽出した。看護学生の職業意識は、(1)2年生の方が1年生より職業意識が高い、(2)看護学生(1年生も2年生も)は人間関係への志向性が高い、(3)2年生は1年生よりも専門職としての志向性は高いが、ある傾向の項目は1年生よりも低い。たとえば、(4)2年生は1年生よりも「自分の能力が試される機会」や「実力・能力本位の処遇や報酬」、「リーダーシップを発揮する機会」に対する志向性は低い、(5)1年生も2年生も仕事内容が複雑で変化に富むことやリーダーシップや責任がかかることを望んではいないという結果が出た。2年生の時期は具体的で専門的な学習に進み、臨地実習も増えるので、自分自身の現実に直面し自覚を促されるために、自信をなくす時期ともいえる。職業社会化のプロセスは線形的には進んでいないということが明らかになったので、一方的な職業社会化を進めるのではなく、学生個々の状況に配慮した教育的関わりが求められていると考えられる。
- 2012-02-25
著者
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