精神療法と医療福祉(<特集>医療現場と医療福祉)
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概要
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医療福祉における精神療法とは,面接室の中で完結するものではなく,また精神科医が単独で行えるものでもない.当事者の生活の場に入り込み,チームで彼らを支えていくことが求められるのであって,その枠組みの中で精神療法としての味付けがなされるべきである.つまり,医療福祉における精神療法とは,生活支援という具体的な果実を伴ってこそ成り立つものである.介護老人保健施設はコミュニティの拠点としての役割が求められており,そこでの活動を知ることは,医療福祉における精神療法のあり方を考えるうえで役に立つであろう.そこではグループ回想法,生活リハビリ,ショートステイ,通所リハビリテーション,ターミナルケア,家族支援,地域への施設開放,地域共同体作りの活動などが実践されているが,それぞれに精神療法の視点からとらえることが可能である.グループ回想法や生活リハビリは,当事者の心身の機能を改善するだけでなく,自尊心を回復させ,生活の質を向上させる.地域に施設を開放することは当事者にとって新鮮な体験であり,生きる希望をもたらし,心気症状や悲観的思考といった病的な症状まで改善させる効果がある.地域に出て共同体作りの活動を行うことは,当事者に生きる喜びを提供するだけでなく,彼らの家族関係を改善させ,さらには活動に参加する者すべてに新たな自己覚知をもたらす.ターミナルケアにおいてはその典型的な経過を紹介し,日本人特有の死生観について考える契機にしたい.当事者の家族に注目すると,彼らの感じる介護負担感は主観的なものである.したがって,家族が援助者との間に信頼関係を築くことができれば,彼らはさまざまな気付きを得て,介護負担感を喜びに転換させることが可能である.とりわけ内観療法は,家族に愛情発見や自己反省を促し大きな自己洞察に導くため,当事者を取り巻く環境は改善しその後の良好な治療的展開が期待できる.
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