生薬資源の研究(第8報) : 生薬「何首鳥」中の2,3,5,4'-tetrahydroxystilbene-2-O-β-D-glucosideの分布と公定試験法について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
何首鳥は,宋代の開宝本草に初めて収載される比較的新しい生薬である.タデ科のツルドクダミPolygonum multiflorum THUNBERG (Polygonaceae)を基源植物とし,1989年公布の「日本薬局方外生薬規格」には,その評価法として,何首鳥中のオキシアントラキノン類であるemodin[1]を指標とした確認試験法が示されているが,野呂らは本法に準じ各市場品何首烏の確認試験を行ったところ,必ずしも適合していないものが多くみられ,その組織形態とオキシアントラキノン類の含有の有無との関連性を指摘している.現在,市場品"何首烏"は中国からの輸入品が全てであるが,外形は多様で,塊根をそのままか,輪切りや粗砕にして乾燥したものなど一様でない.何首鳥には滋陰・強壮の効があるとされ,開宝本草に養毛効果が記されて以来,歴代の本草書にその効用が記されてきた.近年動物実験によってその効果は確認されているが,作用本体については未だ解明されてはいない.その一方で抗高脂血症,各種肝障害改善作用が認められ,その作用の有効成分がスチルベン配糖体であるとの報告があり注目されている.ところで,このスチルべソ配糖体については既に秦,小澤らが,何首鳥から単離し,構造を決定していた2,3,5,4'-tetrahydroxystilbene-2-O-β-D-glucoside[2]であった.そこで,1,2の定性・定量分析を行うとともに,2とオキシアントラキノン類との関連性について検討したので報告する.
- 日本生薬学会の論文
- 1993-12-20
著者
-
馬場 きみ江
大阪薬科大学
-
小澤 貢
大阪薬大
-
米田 該典
大阪大学薬学部
-
前平 由紀
大阪大学薬学部
-
小澤 貢
大阪薬科大学
-
米田 該典
Faculty Of Pharmaceutical Sciences Osaka University
-
米田 該典
大阪大学医学部
-
四宮 由美子
大阪大学薬学部
-
菅野 悦子
大阪大学薬学部
関連論文
- アシタバの成分と系統育成
- アシタバの苦味成分の探索
- 64 Daphne genkwaより得られる新ビフラボノイド類の構造(ポスター発表の部)
- Antibacterial Activity of Two Chalcones, Xanthoangelol and 4-Hydroxyderricin, Isolated from the Root of Angelica keiskei KOIDZUMI
- ジンチョウゲ科植物成分の化学的研究(第4報)芫花根の新スビロビフラボノイドGenkwanol Aの構造
- Inhibitory Effects of 3,3', 4,5'-Tetrahydroxystilbene and 3,3', 4,5'-Tetrahydroxybibenzyl, the Constituents of Cassia garrettiana on Antigen-Induced Histamine Release in Vitro
- THE INHIBITORY EFFECT OF 3,3', 4,5'-TETRAHYDROXYSTILBENE, A CONSTITUENT OF CASSIA GARRETTIANA, ON ANTI-IgE-INDUCED HISTAMINE RELEASE FROM HUMAN BASOPHILS IN VITRO
- The Biological Activities of Podophyllotoxin Compounds
- The Biological Activities of Diethylstilbestrol and Its Derivatives
- サイコ含有漢方エキス製剤中のSaikosaponinの定量
- アシタバに含有されるカルコン誘導体を用いるチタン(IV)の吸光光度定量
- 大黄および漢方エキス顆粒剤中のセンノサイド含量
- Effects of Crude Drugs on Various Digestive Enzymes in Vitro and in Vivo
- Study on Conformations-Biological Activities Relationships for Podophyllotoxin Analogues Based on Crystal Structure of Deoxypodophyllotoxin (Anthricin)
- ボウフウ(防風)の栽培研究-1-トウスケボウフウの生態学的特性について
- 生薬資源の研究(第11報) : ダイオウ(Rheum palmatum)の乾燥と凍結による品質への影響
- The Biological Actions of Deoxypodophyllotoxin (Anthricin). I. Physiological Activities and Conformational Analysis of Deoxypodophyllotoxin
- Purification and Characterization of β-Amylase from Ginseng
- マルバトウキおよびイヌトウキ根の成分
- パ-ソナルコンピュ-タのTSS簡易インテリジェントタ-ミナル化とその応用
- 薬用植物種子の研究-4-マハラノビス汎距離による決明子の分別
- 薬用植物種子の研究-5-Disc,starch gel電気泳動法による決明子の研究
- 薬用植物種子の研究-6-子房培養で得たウイキョウ果実の性質
- 漢方エキス製剤(温清飲)の品質試験
- 市販漢方エキス製剤(黄連解毒湯)の品質評価
- Changes of Tissue Histopathology and Uric Acid Excretion in Silkworm Larvae Intoxicated with Deoxypodophyllotoxin and Racemomycin-D, and during Starvation
- The Biological Activities of 3,4-O-Isopropylidene-3,3'4,5'-tetrahydroxystilbene
- 3,3', 4,5'-Tetrahydroxystilbeneならびにその誘導体の冠血管拡張ならびに血圧降下作用
- リンドウ科植物を基源とする生薬の研究(第6報)リンドウの各部位におけるGentiopicrosideの含有量および, そのエゾリンドウでの生育年数別変化について
- アシタバのヒスタミン遊離抑制作用
- Chemical Studies on the Heartwood of Cassia garrettiana CRAIB. III. : Structures of Two New Polyphenolic Compounds
- 88(PA3-8) ジンチョウゲより得られる新ビフラボノイド類の構造(ポスター発表の部)
- Chemical Studies on the Constituents of the Thymelaeaceous Plants. III. Structure of a Novel Spiro Biflavonoid, Daphnodorin C, from Daphne odora THUNB.(Organic,Chemical)
- STRUCTURE OF A NEW POLYPHENOL FROM CASSIA GARRETTIANA CRAIB.
- THE REVISED STRUCTURE OF DAPHNODORIN C, A NOVEL SPIRO BIFLAVONOID
- Chemical Studies on the Constituents of the Thymelaeaceous Plants. II. : Stereochemistry of Daphnodorin A and Daphnodorin B
- 野生薬用植物の栽培と育種に関する研究-1-Saussurea lappaの試作栽培
- 生薬資源の研究-3-栽培木香の品質について
- 生薬資源の研究-10-モッコウ中のcostunolide,dehydrocostuslactoneの季節的変動について
- 薬用植物種子の研究-9-ゲル電気泳動法によるCorydalis属の類縁関係
- 中国産生薬デ-タベ-スの作成とその生薬資源研究への応用(資料)
- 通信回線によるファイル交換とその応用 (「マイクロコンピュ-タ」)
- ジンチョウゲ科植物成分の化学的研究(第5報)ジンチョウゲの根から得かれる新ビフラボノイドDaphnodorin Dの構造
- 超臨界流体抽出の生薬, 植物成分への応用(第1報)蛇床子成分の抽出に及ぼす圧力, 温度, 時間, エントレーナーの影響
- Chemical Studies on the Constituents of the Thymelaeaceous Plants. I. : Structures of Two New Flavans from Daphne odora THUNB.
- 伝統売薬「ウルユス」について(2)
- 伝統売薬「ウルユス」について(1)
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬(3) : 「莨根」について 各種トロパンアルカロイド含有生薬の比較および品質評価
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬 (5) : 「甘草」について
- タンジン培養細胞によるテルペン類の生成
- 緒方洪庵と門下生に見る舎密と究理
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬 (6) : 「桂枝」について
- 生薬資源の研究(第13報)羊胆の乾燥調製と抱合胆汁酸および遊離アミノ酸組成の変動について
- 正倉院の香り
- 沈香の研究ノ-ト
- 正倉院の香薬(2)正倉院の香と香材
- 正倉院の香薬(1)正倉院薬物の第二次調査から
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬(4) : 「摂綿」について
- 正倉院の色
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬(2)「旃那」について
- 緒方洪庵の薬箱とその生薬(1)「将軍」について
- 緒方洪庵先生の薬箱とその内容薬物について
- 緒方洪庵先生の薬箱とその内容薬物について
- 漢方用薬の品質の考え方 : 多様化に対応する漢方用薬の品質の確保へ
- 生薬資源の研究-8-生薬「何首烏」中の2,3,5,4′-tetrahydroxystilbene-2-O-β-D-glucosideの分布と公定試験法について
- I-3 近代和薬の研究
- 薬用植物種子の研究-12-Datura stramonium種子の発芽時のアルカロイド組成の変動について
- 薬用植物種子の研究-11-Gentiana luteaの発芽について
- 生薬資源の研究-7-黄連のβ-アミラ-ゼ活性と加熱調製について
- 生薬資源の研究-6-甘草の品種と成分組成の比較-2-
- 薬用植物種子の研究-10-黄連種子の成熟から発芽にいたるまでのアルカロイド組成の変動について
- 生薬資源の研究-5-Glycyrrhiza uralensisと各種中国産甘草の成分組成の比較-1-
- 生薬資源の研究-4-黄連の加熱調製とアルカロイド組成について
- 生薬資源の研究-2-中国産黄連の組織形態とベルベリン型アルカロイド組成について
- 京都の医薬史跡一覧 (日本薬学会第107年会(京都)薬史学部会--日本近代化期における京都とくすり)
- 生薬資源の研究-1-ベルベリン型アルカロイドの定量と日本産黄連について
- 沈香の生薬学的研究-6-伽南香について
- 沈香の生薬学的研究-5-沈香の主成分分析と因子分析による品質評価
- 沈香の生薬学的研究-4-沈香の精油成分組成の薄層クロマトグラフィ-による比較
- 沈香の生薬学的研究-3-沈香の精油成分組成の判別分析
- 薬用植物種子の研究-3-シャクヤクの発芽について
- Ephedra distachyaの成長とエフェドリン系アルカロイド含量の変動
- アシタバ根の成分(第3報)新ジヒドロフロクマリンの構造
- アシタバ根の成分(第2報)カルコン誘導体の構造について
- 漢薬何首烏の新スティルベン配糖体
- 中国産蛇床子およびハマゼリのクマリン成分について
- アシタバに関する研究 : 八丈島産と大島産の比較
- 沈香の生薬学的研究-2-中国産沈香について
- 沈香の生薬学的研究-1-沈香の精油成分組成のGLC,GC-MSによる比較
- アシタバのヒスタミン遊離抑制作用
- 中国産防風の研究(III) : 水防風の成分について
- アシタバの成分(第5報) : 果実の成分および果実,根,葉におけるクマリン類,カルコン類の比較
- 中国産防風の研究(II) : クマリン類,クロモン類,ポリアセチレン類による防風類の比較
- 生薬資源の研究(第8報) : 生薬「何首鳥」中の2,3,5,4'-tetrahydroxystilbene-2-O-β-D-glucosideの分布と公定試験法について
- 蛇床子の抗白癬菌作用成分と基原植物について
- 低環境負荷対応分析法(クリーンアナリシス)としての逆相薄層クロマトグラフィーによる生薬分析
- 白〓の成分研究(補遺1) : 和白〓のクマリン成分
- 唐藁本の成分研究
- エゾニウの成分研究
- 市販唐独活と関連植物根のクマリン成分による比較および唐独活のクマリン成分について