ケシ(Papaver somniferum L.)の生産力におよぼす気象要因の影響(第1報) : 一貫種の生産力と気象要因との相関
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概要
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和歌山薬用植物栽培試験場における1955年から1974年までの20カ年のケシ一貫種の生産力(あへん収量,あへん中のモルヒネ含量,モルヒネ収量)と当場において観測した各種気象要因との間の相関を検定した.1)あへん収量と5月の月合計降水量,月平均湿度および月平均雲量との間には負の相関が認められる.これに反して,あへん収量と5月の月平均最高気温,月平均気温較差および月合計日照時間との間には正の相関がある,合計降水量は5月上旬(開花期)からあへん収量に影響し始め,5月中旬(さく果生育期)まで影響し続ける.平均最高気温は5月上旬にのみあへん収量に影響をおよぼす.平均気温較差は5月上旬と同下旬(あへん採汁期にほぼ一致する)にあへん収量に影響する.平均最低気温(負の),平均湿度,平均雲量および合計日照時間は5月下旬にあへん収量に影響をおよぼす.またあへん採汁期間中における平均最低気温,平均気温較差,合計降水量,平均湿度,平均雲量および合計日照時間はあへん収量に影響をおよぼす.2)あへん中のモルヒネ含量と各種気象要因との相関は,あへん収量と各種気象要因との相関に比して正負全く逆である(5月上旬の開花期においては例外).あへん中のモルヒネ含量と5月の月合計降水量,月平均湿度および月平均雲量との間には正の相関が認められる.これに反して,あへん中のモルヒネ含量と月合計日照時間との問には負の相関がある.合計降水量と平均湿度はあへん中のモルヒネ含量に5月中旬から影響し始め,同月下旬まで影響し続ける.平均最低気温,平均気温較差,平均雲量および合計日照時間はあへん中のモルヒネ含量に5月下旬およびあへん採汁期間中に影響をおよぼす. 3)モルヒネ収量と5月の月合計降水量,月平均湿度および月平均雲量との間に負の相関が認められる.これに反してモルヒネ収量と5月の月平均最高気温,月平均気温較差および月合計日照時間との間には正の相関がある.平均最高気温はモルヒネ収量に開花期である5月上旬においてのみ影響をおよぼす.平均気温較差は5月上旬と5月下旬(あへん採汁期にほぼ一致する)においてモルヒネ収量に影響する.合計降水量はモルヒネ収量に5月上旬から影響し始め,同月中旬まで影響し続ける.合計日照時間はモルヒネ収量に5月中旬から影響し始め,同月下旬まで影響し続ける,平均最低気温は5月下旬とあへん採汁期にモルヒネ収量に影響をおよぼす.平均湿度と平均雲量とはあへん採汁期にのみモルヒネ収量に影響をおよぼす.4)開花期である5月上旬とさく果生育期である5月中旬における降水量が少ないほど,開花期における平均最高気温は高いほど,開花期とあへん採汁期である5月下旬における気温較差は大きいほど,さく果生育期とあへん採汁期における日照時間の長いほど,あへん採汁期における湿度は低く,雲量は少なければ少ないほどケシー貫種のモルヒネ生産力は高い.
- 日本生薬学会の論文
- 1977-06-20
著者
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