NGOを通じた市民の環境保全活動の傾向についての一考察 : 環境NGOの発展過程に関する欧米との比較を通して
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概要
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日本の環境NGOは欧米に比べ、政治的影響力の点等で異なるという指摘がこれまでにもなされてきた。そういった中、本稿では、個々の環境NGO活動のケーススタディーではなく、「NGOを通じた市民の環境保全活動全体の傾向」といった点について、日本の環境NGOの発展過程を欧米と比較することにより分析を行った。欧米の環境NGOは大きく分けて伝統的な「自然保護運動」と、1960-70年代から始まった、汚染・リサイクル等の問題も扱う政治性の強い「新環境運動」の流れ(主義・理念)に影響を受ける形で発展してきた。日本においては公害問題に始まる独自の環境保全運動の流れの中、日本固有の政治・経済・社会・環境的要因に規定されつつ環境NGOは発展をとげ、独特の特徴を呈することとなった。その結果、全体的に日本の環境NGO(または日本におけるNGOを通じた市民の環境保全活動)には、生活環境の問題に取り組む「生活系」の団体が多く、また特定地域内で活動するローカルな団体が多い。こういった特徴はまた、日本の政治文化や会員数・意思決定メカニズム・設立過程などの組織的特徴ともあわせて、日本の環境NGOが政治的な活動よりも、実践的な活動を指向する傾向をもたらしていることが分かった。
- 2001-10-31
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