生体組織を伝播する非線形波動の可視化[II] : 心室中隔壁を伝播するホールのパターン選択(物性,一般)
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概要
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本研究は金井研で開発した超音波による新しい位相差トラキング法を用いて非侵襲的に測定された、正常者の心室中隔壁で捉えた興奮伝播波を心臓壁運動の振動成分として計測しその位相場の時空間相互作用で見られる非線形波動のメカニズムを明らかにしたものである。この振動成分とは、拍動によって大きく動いている心室中隔壁上の振幅数十ミクロン以下の微小運動速度波形を100Hzまでの帯域にわたり高精度に計測する手法を開発したものである。これにより心臓壁運動の速い振動を高精度高分解能の波動を検出し、前半の講演で述べたように位相勾配ベクトル場による方法が波の反射や衝突を伴う複雑な速度場をもつ非線形波動の波の解析に有効であることを示した。その結果、心臓壁運動が本来有する速度場の空間及び時間発展の特徴的なパターンを観測することが可能となり、これを用いて、本講演では(1)正常者の心室中隔壁を伝播する速度波形を計測し、その時空間特性を位相勾配からなる2次元ベクトル場で表示し、(2)1次元Complex Ginzburg Landau Equation(CGLE)の厳密解として知られているBekki-Nozaki(BN)ホール解と測定値から得られた局在した振幅ホールとの定量的比較から、心臓の心室中隔壁にホールが存在することを検証した。これらを要約すると、心臓壁運動の振動成分の位相勾配のマッピングと心筋の弛緩特性の時空間発展の画像解析よりBNホールと呼ばれるダークソリトンが心室中隔壁の各所に存在することを初めて発見することに成功した。
- 2011-07-21
著者
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金井 浩
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻
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原田 烈光
アロカ研究所
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岡田 孝
アロカ株式会社 研究所
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金井 浩
東北大学大学院工学研究科
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原田 義文
福井大・工
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原田 義文
福井大学
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原田 烈光
アロカ研究所・アロカ株式会社
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原田 烈光
アロカ株式会社 研究所
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原田 烈光
アロカ(株)研究所
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原田 烈光
早稲田大学
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戸次 直明
日本大学工学部
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Kanai Hiroshi
Education Center For Information Processing Tohoku University
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HARADA Yoshifumi
Global Business Creation Inc.
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Kamada Hideichi
Department Of Cardiovascular Medicine Tohoku University Graduate School Of Medicine
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岡田 孝
関西学院大学理工学部情報科学科
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原田 烈光
日立アロカメデイカル
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井上 敬章
日立アロカメデイカル
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岡田 孝
日立アロカメデイカル
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吉川 義博
日立アロカメデイカル
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岡田 孝
日立アロカメディカル株式会社
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原田 烈光
日立アロカメディカル
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岡田 孝
日立アロカメディカル
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井上 敬章
日立アロカメディカル
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吉川 義博
日立アロカメディカル
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金井 浩
東北大学大学院医工学研究科電子工学専攻超音波医工学
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