慢性疾患医療における療養行動支援のあり方について : とくに糖尿病患者の<指導・教育>について
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概要
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慢性疾患医療に関わる倫理的ジレンマの例として、生命倫理の領域で度々取り上げられる事例の一つにいわゆる「コンプライアンス/アドヒアランスのよくない患者」の事例がある。すなわちそれは、治療に必要と医療従事者が判断し患者に指示する療養行動を、患者が実践しようとしない事例、もしくは患者の実践する療養行動が医療従事者の判断からすると適切ではない事例である。本稿では、こうしたジレンマの背景には療養行動支援のアプローチとして「指導・教育」が主流を成しているという現状があることを指摘し、そこにおいて前提とされているQOLやEBMの考え方に考察を加える。考察を通じて、「QOLの維持」という医療の目的に照らすなら、個別の医療においては、「適切な治療の実施」に加えて、QOLの各要素への配慮・確認の作業が求められることを示し、これに基づいて、指導・教育アプローチの問題点を指摘する。最終的には、本稿において先のジレンマの解決のためのひとつの方途を示す。
- 2010-09-23