変化するマイノリティ・アイデンティティの境界 : 日系アメリカ人市民協会と同性婚の事例から(<特集2>2010連続ワークショップ「私たちの歴史を創造する・私たちの歴史を書く」)
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概要
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本稿では、日系アメリカ人がマイノリティとしての自分達の立場を考えた際の「私達」という概念の包括性と境界について考察を行う。特に、全米日系アメリカ人市民協会(Japanese American Citizens League:JACL)の1994年からの同性婚に対する公的な賛成に至った論理展開に注目し、JACL会員、その他の日系人組織の活動家、そしてセクシャルマイノリティの日系人がマイノリティという言葉を考えた際、マイノリティとしての「私達」という概念が、他のカテゴリー集団をどう含むのか、とりわけセクシャルマイノリティの人々の問題をどのように「私達」の問題と考えているのかについて、新しい社会運動の視点から、2008年8月のフィールドトリップで得たインタビューデータとJACL機関紙であるPacific Citizen誌を主に使用し分析を行う。日系人集団におけるマイノリティがマジョリティに受け入れられようと働きかけるとき、マイノリティは既存の概念よりもより包括的な「私達」の概念の代替案を提示する言説戦略を用いて、パラダイムシフトを図る。つまり、周縁に置かれた者ほど、中心に含まれる人々をも含む包括的な「私達」の概念を使用し、中心の人間達の「私達」という概念に訴えかけ、今度は自分達が周縁に置かれないための代替案を提示してゆく。日系人組織内部では、人種・性的指向が、つまり純血/混血・異性愛者/その他の性的指向保持者、の2項対立が、それぞれ集団内部での中心-周縁構造を構成する要素として相互に作用し合っている。日系人集団においては混血であるよりも非異性愛者であるほうが、より周縁に置かれる構図が成立しており、「私達」の概念は、非異性愛者が提示する場合が最も包括的となる傾向がある。
- 2011-09-10
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