正しいパターナリズムと不正なパターナリズム(ワークフェアをどう正当化するか)
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概要
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この論文の目的は、「パターナリズム」概念の積極的な側面を取り出し、ワークフェア政策の正当性について考察し、必ずしも不正なものではないと主張することである。そのために、社会変動論の視点を活用する。 まずは、「新しいパターナリズム」概念が登場し、従来の用法とは違った意味合いが込められるようになったことを、デブリン・ハート論争の検討を通して確認する。その後、いくつかの留保を付けた後、パターナリズムには負の側面ばかりではないという提案を行いたい。 次に、社会変動論の視点から、現代におけるパターナリズム概念の置かれた状況を考察する。パターナリズムは、時代状況によって批判の対象となったり、積極的に評価されたりする。規律訓練型社会から排除型社会へと移行した現代では、パターナリズムが積極的に評価される社会状況になったと考えられると提案したい。 その後、現代福祉国家において最もパターナリズムが活用されている事例としてワークフェア政策を取り上げる。この政策への批判に応えることで、現代社会におけるパターナリズムの正当性を論証したいと思う。