利用者主体に関する意識の実態とその関連要因に関する研究
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概要
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大都市近郊S村に在住する20歳以上の全住民(3,539人)を対象として、利用者主体に関する意識の実態とその関連要因を明らかにすることを目的とした。利用者主体を阻害することにつながる傾向の強い項目を<利用者主体の阻害傾向>(「要介護者は家族の意見に従うべきである」、「要介護者は我慢することがあっても仕方ない」、「要介護者は介護に関して文句を言うべきではない」)とし、性、年齢、身体症状、介護の要不要、家庭内要介護者の有無、介護意識、社会関連性、介護サービスヘの関心、介護サービスの利用希望との関連を検討した。年齢の影響はMantel-Haenszel法で調整した。さらに、複合的に関連を見るために阻害傾向を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い、以下の結果を得た。1)調査対象3,539人中2,977名(84.1%)から有効回答が得られた。男性1,425人(47.8%)、女性1,552人(52.1%)であり、平均年齢は、男性49.5歳、女性51.3歳であった。2)阻害傾向は、高齢になるにつれて高くなっていた。3)介護を受容している者、家族介護に負担感のある者、世間体意識の強い者で阻害傾向が有意に高かった。4)多重ロジスティック回帰分析により、阻害傾向と年齢、介護受容意識、家族介護負担感、世間体意識との複合的な関連が認められた。今後の保健福祉サービスにおいて利用者主体を促進するため、専門職による要介護者、介護者双方に対する精神的な援助を早急に適切に行い、家族介護者の負担感を軽減すること、介護サービスに対する関心を高め、世間体を気にせず利用できるように配慮することなどにより、利用者主体への啓発が強く期待されよう。
- 日本保健福祉学会の論文
- 2001-03-31
著者
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鈴木 英子
杏林大学保健学部
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原田 亮子
長寿科学振興財団
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原田 亮子
Univ. Missouri‐st. Louis
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丸山 昭子
北里大学大学院看護学研究科
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安梅 勅江
国立リハビリテーション研究所
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