放射性廃棄物問題と産業廃棄物問題(<特集1>公害問題への視点)
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概要
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日本では放射性廃棄物は,廃棄物処理法上の廃棄物から除外され,産業廃棄物と別個に扱われ論じられてきたが,両者はともに事業活動から生み出された事業系廃棄物と見るべきである。本稿では放射性廃棄物問題と産業廃棄物問題の同質性と異質性を論じることで問題構造の社会学的特質を考察し,どのような方向に政策転換をはかるべきか,政策目標を検討する。一見異質な両者は,安全性と立地問題をめぐってダウンストリーム問題としての共通の問題構造をもっている。大量生産・大量消費社会は,放射性廃棄物と産業廃棄物を増大させ,そのツケをダウンストリームの周辺部に集中させ,青森県六ヶ所村をはじめとする原子力施設の立地点や,産業廃棄物の最終処分場の立地点において,深刻な地域紛争を招いてきた。放射性廃棄物と産業廃棄物は現代においてもっとも先鋭・広範囲に環境汚染・公害被害・身体被害を引き起こしうるリスクをもっている。産業廃棄物の最終処分場不足,放射性廃棄物の最終処分場の立地点確保の困難,同じく中間貯蔵施設の立地難といった事態が社会問題化しつつある。産業廃棄物のエネルギー資源化をはかることは,デンマークやスウェーデンのバイオガス・バイオマス利用の先進事例のように,二酸化炭素など温暖化ガスの排出抑制と放射性廃棄物の排出抑制にも貢献する。産業廃棄物の発生・排出を抑制し,減量化とリサイクル化・再資源化をはかる循環型社会の建設こそ,全地球的な規模で温暖化問題を改善し,同時に脱原子力社会化をすすめる方途である。
- 2000-10-31
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