コモンズとしての熱帯林 : カリマンタンでの実証調査をもとにして(<特集>コモンズとしての森・川・海)
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概要
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コモンズには様々な定義・類型がある。ここではオープン・アクセスと共的財産の双方を含む広義のコモンズを、資源にアクセスできる権利が一定の集団に限定されない「グローバル・コモンズ」と、一定の集団に限定される「ローカル・コモンズ」に分類する。さらに後者のうち、管理・利用について集団内である規律が定められ利用に当たって種々の権利・義務関係が伴っているものを「タイトなコモンズ」、利用規制が存在せず集団のメンバーならば自由に利用できるものを「ルースなコモンズ」と定義する。今では、私有化と国有化のほころびが明確になるにつれて、「タイトなコモンズ」の重要性が認められるようになってきた。そこで、次にカリマンタンの焼畑民族(ケニア人)の森林システム(焼畑システム、共有林システム、その他のシステム)を対象とした実証的コモンズ論が展開される。ローカル・コモンズには、持続的利用を達成する「生態学的機能」と、社会の秩序を維持するなどの「社会文化的機能」とがある。ここでは、前者を検討する視点として、「偶発的な持続的利用」、「副産物としての持続的利用」、「意図的な持続的利用」という持続的利用の3類型が定義される。検討の結果、焼畑システムと共有林システムは「ルースなローカル・コモンズ」、その他のシステムは「グローバル・コモンズ」であることが結論づけられた。だからこそ、ケニア人の森林システムは急速に変容しているのである。これらの変容は、何世紀かにわたって徐々に進行した市場経済化を基礎にして、1970年代以降の「不完全な産業化」によって引き起こされている。したがって、論理的なオルターナティブは、ケニア人の社会が産業化への適応力を持つような条件を有した私的財産制度を基本とする「完全な産業化」戦略と、共的財産制度を基本とする社会システムを構築する「コモンズの再構築」戦略である。現在の政策下で後者の戦略は不利であるが、林業基本法第2条を改訂すれば部分的導入の可能性が高まる。そのとき、森林居住者たちが政府やNGOからの支援を得ながら「タイトなローカル・コモンズ」を構築できるか否かが、きわめて重要となるのである。
- 1997-09-20
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