住民のリサイクル行動に関する機会構造論的分析 : 日米比較調査をもとに
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概要
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ごみに関する対策はごみの流れ全体を包括する体系性と、地域の諸条件に応じた多様性を持つ必要がある。そしてごみに関する研究もごみ対策の体系性と多様性を前提としたものでなければならない。本稿では、そうした前提をふまえたリサイクル行動の分析モデルとして機会構造論的モデルを提案する。本稿は、日米3自治体(東京都目黒区、埼王県与野市、ワシントン州シアトル市)における事例調査をもとに、住民のリサイクル行動を、住民の意識からではなくその地域のリサイクル・システムの特徴から説明することを目的とする。取り上げるシステムの特徴は、(1)リサイクル・システムの包括性、(2)ごみ処理費用の負担方法、(3)システムへのコミットメントの3つである。分析の結果は以下の通りである。(1)日本の多元的なシステムより、シアトレ市の包括的なシステムの方が住民の分別行動の比率は高い、(2)シアトレ市のごみ有料収集はごみ減量に一定の経済的動機づけを与えている、(3)システムへのコミットメントの相違による分別行動の比率の差はあらわれなかった。全体として、地域のリサイクル・システムが住民の分別行動をかなりの程度規定していることを明らかにできた。
- 環境社会学会の論文
- 1996-09-20
著者
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