日中戦争期の中国ムスリム社会における「親日派」ムスリムに関する一考察 : 中国回教総連合会の唐易塵を中心に
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概要
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唐易塵は日中戦争期に日本の対イスラーム政策に協力した「親日派」ムスリムで,雑誌『震宗報(月刊)』の主編者や中国回教総連合会の総務部長を務め,1938年の東京モスク落成記念式典に参加した。同年末から翌年にかけて聖地メッカへの巡礼旅行を行った際には,唐一行が日本の指示を受けて宣伝活動をすることを警戒した中国回教救国協会が,対抗措置としてエジプト留学中のムスリム学生をメッカに派遣した。彼らは唐らを糾弾しながらも,同胞が「対日協力者」として国内で危険な目に遭うことを懸念していた。当時の中国ムスリム社会は,「親日派」と「抗日派」の対立という単純な図式ではとらえきれない,複雑な様相を呈していたのである。
- 2011-09-25