水稲「きぬむすめ」における良食味・高品質・安定生産のための分施体系と緩効性肥料による施肥法

概要

論文の詳細を見る
2010年に兵庫県では,良食味,高品質の「きぬむすめ」を認定品種に採用した.この「きぬむすめ」について,良食味,高品質を維持して,かつ安定多収を得るための,栽植密度と化成肥料の分施体系による施肥法,緩効性肥料を用いた施肥法を検討した.栽植密度試験(15.2株/m^2と21.2株/m^2の2水準)では,収量構成要素に差がなく,精玄米重も差がなかった.玄米タンパク質含量もともに7%未満となり,食味総合評価にも一定の傾向はみられなかった.分施体系施肥法試験では,穂肥(10aあたり窒素成分を基肥4kgに対して2kgあるいは4kg)の施用により,穂長は長くなり,一穂籾数と千粒重が増加して精玄米重が増加した.玄米タンパク質含量は穂肥施用で高くなる傾向があり,食味総合評価も穂肥4kg施用で特に劣る結果となった.緩効性肥料施用試験では,稈長,穂数,一穂籾数,さらに登熟歩合のいずれも基肥(緩効性肥料)量による差はなかった.穂肥(速効性高度化成肥料)施用により,精玄米重は増加したが,食味総合評価は劣る結果となった.以上の結果から,「きぬむすめ」において,分施体系では,10aあたり窒素成分を基肥量4kg,穂肥量2kgとすることで,多収となり品質・食味良好となると考えられた.一方,緩効性肥料では,窒素成分を基肥のみ5〜7kg施用することで,多収となり品質良好となると考えられた.

水稲「きぬむすめ」における良食味・高品質・安定生産のための分施体系と緩効性肥料による施肥法

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク