会計基準の差異と銀行行動 : 銀行貸出行動におけるフレーミング効果の発生
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概要
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本稿では,銀行貸出における貸倒引当金の取り扱いが,財務会計と税務会計において異なるため,リスク中立的な銀行の貸出行動が,利得領域においてリスク回避的に,損失領域においてリスク愛好的なものに歪曲することを理論的に示す。 本稿の主な結論は,次の3点が挙げられる。第1に,税制が存在しない場合,貸倒引当金制度の有無にかかわらず,リスク中立的な銀行による貸出の継続または清算の選択は,各選択による期待収益の大小関係に依存して決定される。第2に,税制が存在し,貸倒引当金の取り扱いについて,財務会計と税務会計において一致している場合,リスク中立的な銀行による貸出の継続または清算の選択は,銀行の期待フリーキャッシュフローを最大化するように選択される。最後に,税制が存在し,貸倒引当金の取り扱いについて,財務会計と税務会計において異なる場合,リスク中立的な銀行は,利潤に対してリスク回避的に,損失に対してリスク愛好的(すなわち損失回避的)となるような貸出決定を行う。この結果は、銀行貸出における貸倒引当金の取り扱いが,財務会計と税務会計において異なるため,銀行がプロスペクト理論型の効用関数を持つように変化し,銀行行動において内生的にフレーミング効果が発生することを意味する。
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