管理会計論における「脱会計」現象の歴史的基盤とその今日的意味 : 会計としての概念規定をめぐって

概要

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今日, 管理会計論の領域では, 管理会計の「会計としての本質的性格」に関わる問題として, (1)会計情報と非会計情報との区別と関連を明確にすることなく, 経営管理に役立つ計数的情報システムなら何でも管理会計システムとして捉えるような傾向 (会計と非会計の混然一体化, ひいては「脱会計」傾向), (2)管理会計の会計としての方法 (構造) とそれが機能する場としてのマネジメント・コントロール (システム) との区別と関連を明確にすることなく, 両者を混同・混然一体化する傾向 (会計と管理の混同・混然一体化傾向) が窺える. 本稿では, そうした傾向の本格的な歴史的基点をアメリカ会計学会の『基礎的会計理論報告書』 (1966 年. 通称 ASOBAT) に求め, その前後の同学会の諸委員会報告書を参照しつつ, そのような主張・議論の論理と性格を分析し, 管理会計の「会計としての本質的契機・要素」に照らして, それが「会計概念・理論の拡張」を標榜しつつも理論的には「脱会計」現象ともいうべきものであることを明らかにする. また, そのような視点から, こうした傾向を反映する具体的事例としての行動管理会計論およびバランスト・スコアカード (BSC) の基本的性格を分析する.
2011-09-30