サラミノヒトヨタケの菌糸体生長と子実体形成におけるマンニトールの代謝
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概要
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ザラミノヒトヨタケの菌糸体は栄養生長過程にマンニトールを蓄積するが,その半量以上が子実体に転流したと推測された.一方,子実体中のマンニトールは子実体の発育の全過程で増大した.本菌の菌糸体はNAD依存性マンニトール脱水素酵素(NAD-MDH)のみを含有したが,子実体はNADP-およびNAD-MDHを保有していた.菌糸体のNAD-MDH活性は子実体形成の開始の時期まで増大し,その後減少した.一方,子実体ではNAD-およびNADP-MDHとも発育中期まで活性が上昇し,成熟が進むと減少した.NAD-MDHのマンニトール生成反応の最適pHは7.0で,フラクトースおよびNADHに対するKm値は6.0×10-<-2>Mおよび1.0×10^<-5>Mであった.同酵素によるマンニトール酸化反応の最適pHは8.8で,マンニトールとNADに対するKm値はそれぞれ2.8×10^<-3>M and 2.3×10^<-4>Mであった.一方,子実体中のNADP-MDHのフラクト-スおよびNADPHに対するpH7.0でのKm値は3.3×10^<-1> and 1.4×10^<-5>M,マンニトールおよびNADPに対する最適pH9.6での値は1.1×10^<-2>M and 1.0×10^<-4>Mであった.これらの結果から,本菌ではマンニトールは栄養菌糸体で生成したのち子実体に転流し,そこに含まれるNADP-MDHによりフラクトースに転換した後,解糖経路に流入することが示唆された.
- 日本きのこ学会の論文
- 1999-12-25
著者
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