学校組織における「教育改革」への意味付与の様相 : 志木市立A中学校における03〜05年度の事例分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年、教育改革が多様に展開しているが、学校と改革諸施策の提案者の間での意味形成過程の相違にはほとんど関心が向けられずにきた。本稿の目的は、学校内部の視線で教育改革が浸透していく過程を描き出すことである。そのために、志木市立A中学校で観察調査を実施した。観察結果をPolanyi.の暗黙知の理論における意味の創発の考え方に依拠して分析した結果、学校内部からの「教育改革」への意味付与過程には4つの段階があると考えられた。それは、(1)新たな試みがこれまでの実践を支える理念の枠組みの中に位置付くように考えら、うまく位置付かない場合には、別のものとして扱われる段階、(2)多くの具体的諸細目が教員にとって切実な課題となり、それらの課題を解決するために焦点的に感知される段階、(3)複数の諸細目が、カテゴリー化され包括的に意味づけられる段階、(4)包括的に意味づけられた諸細目が、さらに上位レベルの意味から全体従属的に感知される段階の4つである。以上から、短期間での数値化された政策実施評価だけではなく、長期間にわたる学校での教育実践の意味変容、行動変容に着目する質的な評価も重要であることが指摘される。
- 2010-02-28
著者
関連論文
- 小中学校教員における「子ども理解規範」の実態と課題
- 上越教育大学の新構想としての経験から (特集 大学院におけるスクールリーダー教育--知・指導力・指導体制)
- 学校をめぐるシンボリック・マネジメントの可能性--志木市の教育改革導入期を事例として
- 地方自治体単位での改革動向における教職員の位置と課題 (特集 教職員の現在とこれから)
- 教職アイデンティティ組み替えの課題 (特集 教職像の再構築)
- ライフ・ドキュメント分析による子ども理解規範の形成過程に関する考察(1)鳥山敏子氏の事例
- 子ども理解規範の概念枠組設定の試み : 学校組織における教職役割との関係から
- 教師像の転換を受容する学校経営の展望--実践記録『のら犬,学校をかえる』を手がかりとして
- 第2次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」 (学校経営ハンドブック 20 審議会答申のキーワード解説(1996〜1999年)) -- (中央教育審議会答申)
- 〔女性管理職の学校経営〕新学習指導要領と教育課程の編成--ゆとりある学校生活の実現
- 小学校の教育活動における地域性の受容と具現化に関する研究--首都圏近郊の二小学校における事例研究
- 学校経営を見る新たな視点(2)「学校と家庭・地域社会の連携」における学校経営--ネットワ-クとしての学校
- 総括(「教育改革」に揺れる学校現場 : 学校は今どうなっているのか?そして教育経営研究は何を期待されているのか?)
- 小学校教師の算数指導と学級経営の力量に関する実証的研究 : 算数指導及び学級経営に関する意識と実態を中心に
- 「教師の成長」概念の再検討
- 学校組織における「教育改革」への意味付与の様相 : 志木市立A中学校における03〜05年度の事例分析
- 教員社会で期待される「実践力」に関する研究 : 研究紀要に描かれる実践場面の記述を手がかりとして(【テーマB-2】学校のリアリティと改革の可能性,テーマ型研究発表【B】,発表要旨)
- 書評 藤原文雄・露口健司・武井敦史編著『学校組織調査法 : デザイン・方法・技法』
- 〈仕事〉としての教職へのまなざし : 今日的状況と課題(教育経営学研究動向レビュー)
- 指定討論者から : 「学校組織の健康」をどうとらえるか(教職員の健康・学校組織の健康)
- 地方自治体単位での改革動向における教職員の位置と課題(第1部 教職員の現在とこれから)
- ライフ・ドキュメント分析による子ども理解規範の形成過程に関する考察(1)鳥山敏子氏の事例
- 教師像の転換を受容する学校経営の展望--実践記録『のら犬,学校をかえる』を手がかりとして
- 学校をめぐるシンボリック・マネジメントの可能性--志木市の教育改革導入期を事例として
- グローバル時代における学校教育改革の課題と展望(パネルディスカッション,2. 公開シンポジウム グローバル時代における学校教育の役割と課題3,第4部 第27回研究大会の概要)