知的障害児の自己概念とその影響要因に関する研究 : 自己叙述と選択式測定法による検討
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概要
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本研究の目的は、知的障害児の自己概念の特徴を自己叙述と選択式の2つの方法により明らかにするとともに、生活年齢および精神年齢、重要な他者からの賞賛・叱責の認知、他者意識の程度と自己概念との関係について明らかにすることである。対象児は、知的障害児32名(ダウン症児13名、原因不明の知的障害児19名)で、平均生活年齢は185か月(標準偏差27.6)、平均精神年齢は89か月(標準偏差18.1)であった。自己叙述と選択式の関係について分析したところ、自己概念の回答量と選択式による自己概念の高低には、関係がないことが示唆された。対象児を原因不明の知的障害児とダウン症児で2群に分けて検討したところ、自己概念の回答量と選択式の得点に違いはなかった。生活年齢および精神年齢との関係を検討したところ、自己叙述の結果では、発達的変化は明らかにはならなかった。選択式の結果では、学業領域と運動領域において、精神年齢が高くなるほど得点が低くなるという従来の先行研究とも一致した結果が導かれた。さらに、自己概念と重要な他者からの賞賛・叱責および他者意識の程度との関係について検討したところ、より賞賛が多く、叱責の少ない対象児ほど学業と運動領域の自己概念を高めることや、他者のことをより強く意識している対象児ほど自己についてより語ることができるものの、社会的受容感が低いことなどが明らかとなった。
- 2010-05-31
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