医療費の支払いにおける相互扶助 : ガーナ南部における健康保険の受容をめぐって
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概要
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ガーナ共和国では、2004年に導入された国民健康保険計画(NHIS)が着実に普及している。当該地域で暮らす人々にとってNHISの導入は、なによりもまず、それまで存在しなかった新しい形態で医療費を支払うことが可能になることを意味している。そこで本論では、この医療費を支払う新しい方法が相互扶助とどのような関係にあるのかを明らかにしようと試みる。先行研究では、保険は個人主義的な備えであると同時に匿名的な相互扶助であり、対面的な相互扶助に置き換わるものとされてきた。また、構造調整以降のサブサハラ・アフリカにおける医療費の支払いは、対面的な相互扶助が活発に行われる場とされてきた。これらの議論からは1つの仮説が導き出せる。すなわち、ガーナのNHISの導入は、それまで対面的な相互扶助の対象となってきた医療費の支払いを、匿名的な相互扶助や個人主義的な備えによって置換するという仮説である。それに対し本論では、(a)ガーナのNHISの制度的特徴と普及過程、(b)健康保険に加入する経験のあり様、の2点について詳細に検討することにより、ガーナのNHISが、(1)医療費負担の個人化を方向付ける一方で、(2)必ずしも対面的な相互扶助を弱体化させるのではなく、むしろ、対面的な相互扶助が活用される新しい領域を作り出していることを明らかにしていく。
- 2010-12-31
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