宮崎県一ツ瀬川河口域に出現する貝類と甲殻類
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概要
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一ツ瀬川河口域は高大な湿地(756ha)を備え,鳥類や植物に関してよく知られている反面, 底生生物に関しては知見がほとんどなく, 本研究により55種の貝類と77種の甲殻類の生息が確認された.湿地面積の規模が大きく, 後背地となる水田までの間に汽水-陸-淡水の緩やかな環境変化が保たれており, 他では失われつつある環境が見られることは特筆に値する. その様な環境を好むナラビオカミミガイの生息が確認され, アゴヒロカワガニとタイワンオオヒライソガニも採集された. 本研究ではこれまでに生物相の調査された他の干潟に関する最新知見との比較も行った. 一ツ瀬川河口域の甲殻類の多様性は高く, カニ類も他の干潟より10%以上多いことがわかった. その一方で,貝類は他の干潟に比べて種数が少なかった. これは富田浜入江や二ツ立入江の変化が過去100年ほどの短い期間に急速に起こったことに起因していると考えられた. 定量的な調査ではカニなどの季節的象徴が明らかになり, 特に冬から春および夏から秋に底生動物の密度が高くなることが判明した. 一ツ瀬川河口域はシギやチドリ類の飛来地としてもよく知られており, 水鳥の渡りに重要な餌としての底生生物の量的変化と渡りの時期などについて新たな知見をもたらすものであろう.
- 2010-02-26
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- 特集「和名問題を考える」昆虫分類学若手懇談会会報Panmixia第17号, 細谷忠嗣他4名(執筆), 東海大学出版会, 2012年3月30日刊行, 50pp., ISBN1340-4253, 1300円(+送料200円,ただし会費1000円納入でも可)