熱電離気体の平衡=非平衡導電度の測定
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概要
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アルゴンまたはヘリウムに0.1%内外のカリウム蒸気を添加した気体を1,300℃ないし1,700℃に加熱し,熱電離を生じさせてその導電度を測定する. 測定に用いる電流が小さければ導電度は熱電離によるものだけである. しかし電流が大きくなるとそれによって電子が加熱され非平衡電離によって導電度が増加する. この際気体温度までも上昇しないよう,電流としては短いパルスを用いる.全く熱平衡にあると考えられる,10^-15A/cm_2程度の電流密度から,かなりの導電度増加を抄生ずる 10A/cm_2程度まで広い範囲の電流密度において電流密度において電流密度と導電度の関係を実測した.その結果導電度は熱平衡状態の熱平衡状態の値から,電流が増すにつれていったん減少し,次いで増加することが見出された.この導電度がいったん低下することは従来の理論では考えに入れられていなかったアルゴン原子と電子の衝突断面積の電子エネルギーによる変化を考慮することで説明できそうである.結局導電度-電流密度曲線は三つの部分にわけられる:第一の部分では電流は小さく電流が流れていることが気体の状態に影響を及ぼさない.したがって導電度は一定である.第二の部分では電流のJule熱の影響で電子が加熱され平均エネルギーが増す.しかし電子数そのものは少ないため電離度は気体温度で定まり別段増加しない.導電度は電子温度が昇ったための衝突断面積の変化によって変り,千数百度,1気圧のアルゴンではこの部分で導電度は低下する.第三の部分では電流が十分大きく,電子はますます加熱されて電離度・電子数が増加するため導電度が増加する.
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