シンポジウム「統合医科学研究所(TIIMS)の紹介と今後の展望」(1)ゲノム研究にもとづく脂肪酸受容体の機能解析

概要

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遊離脂肪酸(FFAs)は栄養素として不可欠なだけでなく、多くの細胞機能の調節に関与している。これまでに遊離脂肪酸の取り込み、分解、輸送などに関わる多数のタンパク質が知られているが、中でもPPARsを含む核内受容体は、生理学的・病態生理学的な状態において恒常性を維持する、脂肪酸"センサー" である。しかし、これらのタンパク質で全ての生物学的現象が説明できるわけではなく、細胞表面受容体の存在の可能性も示唆されていた。近年、ゲノム解析研究の成果を元にしたオーファンGタンパク結合受容体(GPCR)のリガンド探索の結果、代謝制御に重要な役割を果たす遊離脂肪酸受容体ファミリーの存在が明らかになり、生理機能の解明が進められつつある状況である。我々は、オーファン受容体のリガンド探索から遊離脂肪酸受容体GPR120を見出し、腸管、脂肪細胞における発現と、新規の脂肪酸センサーとしての代謝調節機構への関与について解析を行った。蛍光プローブとフローサイトメトリーを用いた脂肪酸受容体の結合実験解析系を確立し、GPR120およびGPR40に対する特異的なリガンドの探索を行い、選択性を有する天然リガンド、合成リガンドを見出すことに成功した。また、それらの化合物を用いて構造活性相関についての検討を行った。さらに、GPR120のノックアウトマウスの表現型解析から高脂肪食負荷時の肥満現象を見出しそのメカニズムを解析することで、GPR120が脂肪細胞における、脂肪酸センサーとして脂質、糖代謝に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
2011-06-25

シンポジウム「統合医科学研究所(TIIMS)の紹介と今後の展望」(1)ゲノム研究にもとづく脂肪酸受容体の機能解析

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