視覚表象が幼児の次元変化カード分類課題に及ぼす妨害的効果
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概要
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幼児期の実行機能を測る課題として,次元変化カード分類課題(DCCS課題)が広く用いられている。DCCS課題では,色と形の2次元で描かれた2種類のカードを指示された次元で分類し,ターゲットカードを備えた2個のトレイのどちらかに入れなければならない。幼児は,先行段階では教示に従ってカードを正しく分類できるが,後行段階では以前の分類に固執して失敗する。このような幼児の困難の原因については,論争中であるが,幼児は実行機能の注意の抑制が未熟なために,彼らの視覚表象的イメージ記憶が妨害的効果を与える場合があると考えられた。本論文では,DCCS課題で,幼児はターゲットカードと分類カード上の図形を対連合的に学習して,後の学習が生じずに固執を起こして失敗するが,視覚表象の影響が避けられればカードを分類できることを検証した。20人の3歳児と20人の4歳児が,DCCS課題でターゲットカードがないときは,カード間の対連合学習が生じず,新次元に従ってカードを分類できること,さらに,ターゲットカードがあり対連合学習が生じても,視覚表象的イメージ記憶に干渉して,これらを忘却させれば,幼児はカードを分類できるという2つの仮説の調査に参加した。実験統制上の限界はあるが,彼らはどちらの場合も課題に成功できたといえた。さらにDCCS課題と心の理論課題および言語能力との関連性についても調査を行い,これらの結果について議論がなされている。
- 2011-03-20