尿意を訴えない介護老人保健施設入所高齢者に対する尿意確認に基づく排尿援助の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,尿意の訴えがなく失禁している介護老人保健施設入所者の中で膀胱機能が維持されている高齢者を対象として,尿意を定期的に確認し対象者の尿意の訴えに基づいたトイレ誘導を実施し,その効果を明らかにすることである.対象者は9名であった.実施期間は4週間とし,午前8時の排泄後から午後4時までの8時間に排尿援助を行った.事前に把握した対象者それぞれの排尿間隔を参考に排尿誘導時間を設定し,誘導時間には必ず対象者に尿意を問いかけた.実施前7日間,実施後7日間の失禁率と尿意を訴えた回数の変化で効果を評価した.尿失禁率は実施前後において有意に低下,確実に尿意を訴えた回数は有意に増加した.対象者のうち2名は,自発的に尿意を訴えることができるようになり,失禁は消失した.また,5名の対象者は,援助者の尿意の確認に対して尿意の有無が伝えられるようになり,失禁は減少した.以上のことより,尿意を訴えない施設高齢者であっても援助者が尿意を確認することで,自発的な尿意の表出が促進され,尿意に基づいた排尿援助を実施できる可能性が示唆された.
- 2011-01-15
著者
-
小岡 亜希子
愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻
-
藤井 晶子
京都大学医学部附属病院
-
陶山 啓子
愛媛大学大学院医学系研究科
-
形上 五月
愛媛大学大学院医学系研究科
-
小岡 亜希子
愛媛大学大学院医学系研究科
関連論文
- 術後せん妄の誘発因子に対する高齢患者の反応
- 介護施設で生活する高齢者の排便障害の実態とその要因
- 尿意を訴えない介護老人保健施設入所高齢者に対する尿意確認に基づく排尿援助の効果
- 看護大学の学生における卒業前のキャリアデザイン
- 民生委員からみた家庭内での高齢者虐待の現状
- 介護老人保健施設に入所している高齢者の排泄パターンに関する研究--下剤の使用状況の影響
- 尿意を訴えない介護老人保健施設入所高齢者に対する尿意確認に基づく排尿援助の効果
- 看護管理学講義・実習の概略と工夫 (特集 看護管理学講義・演習にみる教育の新しい視点)
- 5グループ 愛媛大学医学部附属病院が行っている防災対策 (特集 看護管理学講義・演習にみる教育の新しい視点) -- (学生の学習プロセス)
- 2グループ のぞましい療養環境をつくるうえで看護師ができること (特集 看護管理学講義・演習にみる教育の新しい視点) -- (学生の学習プロセス)
- 在宅要介護高齢者における排尿管理の実態 : 訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所を対象とした質問紙調査から
- 現任教育としての看護倫理の教育方法に関する検討 : 臨床の看護師による看護倫理研修に対する評価より