糖尿病網膜症と血糖コントロール-DCCT/EDIC Study
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概要
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Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)とEpidemiology of Diabetes Interventions and Complications(EDIC)studyの一連の研究により、糖尿病網膜症と血糖コントロールに密接な関係があることが示された。DCCTは、1型糖尿病でインスリン強化療法により糖尿病細小血管障害の発症・進行が抑制できることを初めて明確に示した大規模研究で、続くEDIC studyでは、DCCT期間中の血糖コントロールの効果が終了10年後にも持続していることが明らかにされた。これらの中で糖尿病網膜症に関連する部分をまとめた。,使用されたEarly Treatment Diabetic Retinopathy Studyの糖尿病網膜症重症度分類は、緻密で精度が高く研究の成功に大きく貢献したと思われるが、複雑で難解であるため解説した。当初は暫定(interim)、その後改良された最終(final)スケールが使用されたため、一部の数値やグラフに論文間で相違があるように見えることに注意が必要である。またDCCTのデータ解析から、DCCT中の血糖コントロールの指標である期間中の平均HbA1c値の上昇とともに、網膜症の悪化リスクが指数関数的に上昇する事が報告された。これに関連し1995年に、平均HbA1c値が同じ場合は強化療法群より従来療法群で予後不良とされていたのに対し、2008年に再解析の結果、両群で同等だったと訂正の報告がされていることを指摘した。,糖尿病網膜症と血糖コントロールの関係を研究する際には、経過がきわめて緩徐で血糖改善の治療効果が出るまでに時間がかかり、過去の血糖コントロール状態に長い間影響され、さらに血糖改善初期のearly worseningが撹乱要素になる、という網膜症の特徴への留意が必要である。
- 2011-03-31