漁民の身体技法 : 伝統的「わざ」と先端テクノロジーの併用
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概要
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1998年2月現在,広島県豊田郡豊浜町豊島では200隻以上の漁民が主に県外出漁に携わっており,夫婦で一年中船で過ごす「船世帯」生活をおくっている。漁法としても豊島の漁民は,いわゆる伝統的漁法の一本釣・延縄を営んできた。しかし他方では,魚群探知機・無線機・レーダー・衛星ナビゲーションシステム・携帯電話などの様々な設備を,他の漁民よりいち早く導入し活用してきている。そして,それらの卓越した漁の技術と装備や,海に関する豊富な知識と経験を背景に,今日なお愛媛県・山口県・大分県・宮崎県・福岡県・長崎県・石川県・静岡県などに幅広く出漁しているのである。本稿では,このように伝統的漁法や生活形態を維持しながらも,他方では先端テクノロジーを積極的に導入・活用している今日の豊島漁民の漁撈活動のあり様を考察してみる。具体的には,道具や身体を媒介とした彼らの伝統的「わざ」や,その習得過程,そして,先端テクノロジーの導入・利用のプロセスなどを明らかにすることにしたい。
- 日本文化人類学会の論文
- 2000-09-30
著者
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