子供のいないカップルたち : 『悪魔のロベール』における不妊
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概要
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中世フランスの作品には子供のいないカップルが数多く登場する。その描かれ方は様々であるが、子供、特に男子の誕生が家系の存続に関わる関心事であった社会において、子供の誕生、およびそのネガとしての不妊にまつわるテーマが物語においても顔を出すことは不思議ではない。これらの不妊には物語の中で解消される(子供の誕生に至る)ものと、解消されないものとがあるが、解消される不妊の方はしばしば徳にも美点にも欠けることのないカップル達がやがて神の介入により子供を授かるという構造を持ち、誕生した子供の価値付けとして機能する場合が多い。では神以外の力の介入により不妊が解消される場合はどうなのか。本論考は、12世紀末頃に成立したとされる『悪魔のロベール』を手がかりに、神の介入による不妊の解消と、悪魔の介入による不妊の解消との異同を探ろうとする試みである。
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