245 青年,成人の道徳性の構造のQ-方法論による分析(2 発達)
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概要
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一般に世の大人たちから青年の道徳性の低下がいわれるが、大人たちが"低下"と感じることの中に、時代による道徳性の"ずれ"による要素が含まれているのではないか。すなわち、大人たちは、戦後民主主義道徳を完全に身につけたつもりでいるが、彼らが青年期までを過ごした時代の道徳基準は彼らの道徳性の深層にかわることなく根強く残って居り、戦後に育った青年たちの道徳性が民主主義道徳の単一構造をなすのに対して二重構造をなし、この"ずれ"が"低下"として感じられるのであろうという仮説を明らかにするために、Q-方法論を用いて青年とその親たちとの道徳性の構造が分析された。因子分析の結果、青年達の道徳性は民主主義道徳性の単一構造を示したが、親の多くは道徳性の表層に対応すると考えられる社会国家・国際の領域で民主主義道徳、深層に対応すると考えられる家庭の領域で封建主義道徳の二重構造を示した。そして、大人達が青年の道徳性の低下をいう場合、このずれによる要素が多分に含まれているであろうことが考えられるのである。
- 日本教育心理学会の論文
- 1964-10-01
著者
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