「AをBに」構文の統語構造 : 「して」省略のメカニズム
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概要
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本稿では、「タバコを手に町を歩いた」のような「AをBに」の付帯状況を表す修飾節(本稿では「AをBに」構文と呼ぶ。)について、先行研究(cf.村木(1983)、寺村(1983)、桑平(2007)など)を中心に構文の特徴についての議論をまとめ、この構文の基底構造として「AをBにして」のテ形節を認め、それから「して」を省略して「AをBに」構文が派生する統語メカニズムを理論的に考察した。具体的には、「AをBに」構文が派生するのは、テ形節が表す出来事が主節の出来事と継起関係がない時とする桑平(2007)の分析をふまえて、Nakatani(2003)のテ形節は主節を支配する機能範疇に依存し、継起関係を持つとの分析を採用し、テ形節の統語構造を仮定して、それから「して」が省略され「AをBに」構文が派生する統語メカニズムを提案した。
著者
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