『しろばんば』にみる少年期の死生観とデス・エデュケーション : -現代におけるデス・エデュケーションへのヒント
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概要
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医療技術の発達した現代では,人の誕生も死の看取りも医療機関でなされるようになり,死が身近なものではなくなった。特に日本人は死について語ることを避け,忌み嫌うものとして隠蔽する傾向がある。だが,かつてはデス・エデュケーションなどと言わなくても,死は家庭や地域の日常生活の中にあり,子どもたちも自然と学べる環境にあった。そのような時代を舞台とした『しろばんば』より死別の場面を取り上げ,主人公の心情と照らしながら見ることによって,少年がどのように死を受け止め,その死生観を育んでいったかを考察した。そして死別による喪失の苦しみを,少年なりのグリーフワークによって現実のものと受容し,成長する姿を追いながら,周囲の大人たちがいかに重大な役割を担っているかを改めて確認するに至った。大正時代において自然に行われていたデス・エデュケーションやグリーフワークを,現代にそのまま要求することは困難だが,「いのちの教育」を子どもだけが学んでも意味はなく,まず大人に対するデス・エデュケーションが最重要課題であることが示唆された。
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