伊勢湾内外の沿岸フロントの季節変動観測
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概要
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伊勢湾内外のいくつかの沿岸フロントの季節変動を調べるため,1995年5月から1997年1月まで計12回のCTDによる断面観測を行った.春には伊良湖水道で潮汐フロントの存在が観測され,密度成層が他よりも鉛直方向に小さい海域がみられた.伊良湖水道沖では湾内水と外洋水が接近し,陸棚フロントが形成される.夏には湾内に顕著な河口フロントが形成され,湾内部の上層の32psu以下の低塩分水が志摩半島沖の陸棚斜面上の水深200m程度の領域まで張り出す.伊良湖水道沖の外洋でゆるやかな水平の季節水温躍層がわずか5日の間に黒潮からの分枝流の接近で顕著な傾きを持つ水温躍層に変化することが1996年7月に観測され,短期間に大きく水温分布が変化する様子が見られた.秋には伊良湖水道は海面冷却で海面から海底まで海水が均一になるが,これには潮汐による鉛直混合の寄与も示唆された.湾奥では夏季の上層の低塩分水の存在で密度成層が残り,水温逆転が生じる.1996年11月の観測では伊良湖水道で密度極大域を伴う熱塩フロントの存在が示され,二日後の観測では密度極大域がさらに頻著になりより重い海水が陸棚斜面上を落ちている様子が観測された.冬季でも湾奥では下層に密度成層が残り,上層より高温で高塩分な海水が下層に残る.伊良湖水道のかなり広い領域で密度極大域が認められ,湾内水と外洋水の間に二つの鉛直循環が生じ,その境目に密度極大域が存在することが示唆された.また,密度極大の海水は伊良湖水道の浅瀬に残留したり(1997年1月17日,1997年1月22-23日),外洋に面した陸棚斜面上を滑り降りている状況(1996年1月18日)が観測され,その分布には顕著な時間変動が存在することが示された.
- 1999-08-10
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