干潟の水質浄化システムとその再生・造成の可能性(シンポジウム:沿岸開発と環境保全の共存-その可能性と方策-)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
干潟の機能の中で,海水を浄化する能力は上載海水中の浮遊有機物の減少や栄養塩類の除去として表れる.東京湾の砂泥質自然干潟や屋内の干潟メソコスム装置においては,生息ベントス現存量が付着藻現存量に比べ同程度かそれ以上の大きな値になることがしばしば観測された.同化係数の測定やP/B^^-比の仮定から,付着藻の一次生産量とベントスの有機物消費量とを見積もると,干潟での生産量以上の有機物が必要であることがわかる.濾過食性のベントスの濾過速度の測定から,濾過食性のベントスの浮遊有機物の取り込みと排糞との作用を通じて,干潟生態系はよそで生産された有機物にも依拠している系であることが予想された.干潟の浄化作用の重要な役割を占めていることになる.干潟生態系の自己組織化を許容し,その場に見合う生態系の定着を手伝うという方法を採れば,濾過食者の加入定着などを通して,有機物負荷のありように応じた干潟浄化能が再生・造成される余地がある.
- 1999-02-25
著者
関連論文
- 干潟実験施設によるメソコスム実験
- 平成8年度秋季シンポジウム「沿岸開発と生態系保全 : 生物と港の関わり」
- 三河湾の覆砂による底質改善効果に関する追跡調査
- 三河湾での覆砂による底質浄化の環境に及ぼす効果の現地実験
- 礫充填層の損失水頭と縦分散係数
- 海水浄化の礫間接触水路内の付着·底生生物相
- 無機栄養塩類の自動測定システムの開発
- 栄養塩溶出速度の温度・DO依存性について
- 再浮遊した海水の酸素消費実験〔英文〕
- 海水のA.G.P.試験法とその適用
- 干潟の水質浄化システムとその再生・造成の可能性(シンポジウム:沿岸開発と環境保全の共存-その可能性と方策-)
- ヨツバネスピオの貧酸素耐性と内湾海底における夏期無生物域の発生条件
- リン溶出予測の数値モデルについて〔英文〕
- 海域底泥中のリンの挙動モデルについて
- 海域における物質循環数値モデルの水質支配要因について
- 平面水槽を用いた曝気用散気管の効率比較実験
- 干潟の創造・修復の技術と課題
- 4 沿岸干潟と環境(これからの沿岸・港湾の開発)
- 海浜環境の創造
- 浅海域での生物による水質浄化作用(シンポジウム:望ましい大阪湾の海洋環境-環境改善への提言)
- 海水浄化の礫間接触水路内の付着・底生生物相
- 海面の上昇とその影響