潮汐混合にコントロールされたフィヨルド底層への外海水の侵入現象(シンポジウム:急潮-沿岸と外洋の相互作用-)
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概要
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フィヨルドのような半ば閉じた沿岸域と外海域との海水交換が,両者をつなぐ海峡部で大潮-小潮周期の強弱をくり返す潮汐混合過程によりどのような影響を受けるのかを,鉛直2次元モデルを用いて解析的に考察した.その結果,混合域内の鉛直密度成層が大潮-小潮周期で変動するのに応答してその両側に伝播していく内部擾乱が,基本場として存在する海水交換流の定常鉛直シアーと相互作用を行い,混合域より内陸側(外海側)の海底(海面)付近で著しく増幅した大潮-小潮周期の流速変動を形成していくことが明らかにされた.こうして局所的な潮汐混合過程により誘起された2次流が基本場の海水交換流と重ねあわさるため,混合域から内陸側(外海側)の底層流(表層流)は,大潮時に著しく弱められ(強められ),また小潮時に著しく強められる(弱められる)ことになる.この解析的モデルは,混合域からフィヨルド底層への外海水の流入が小潮時に著しく強くなり,大潮時が近づくにつれ次第に弱くなっていくというPuget SoundやStrait of Georgiaにおける観測結果をよく説明している.
- 日本海洋学会の論文
- 1992-08-29
著者
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