大阪湾の開発と海域環境の変遷(シンポジウム:望ましい大阪湾の海洋環境-環境改善への提言)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大阪湾における開発の現状と海域環境の変遷について概要を説明し,湾の栄養環境と漁業生産との関連について検討した.大阪湾の開発は,1960年代に入って湾奥沿岸部の埋立を主体として急速に行われるようになり,過去40年の間におよそ56km^2の海面が喪失した.その結果,大阪府の海岸線は垂直護岸,消波ブロック護岸などの人工護岸が95%を占め,自然海岸は僅かに2.8km(1.1%)が残存するに過ぎない.湾の水質環境は1970年代前半に最も劣悪化したが,その後リン負荷量の減少にともなってDIPの濃度が低下し,有機汚濁は回復する徴候が認められる.大阪湾の現状は,富栄養化した湾奥海域がプランクトン食性魚類の生産の場として効果的に利用される一方,湾中央部,西部海域は漁場の環境容量が大きく,その他の魚介類の生育に好適な場となっていて,そのことが過去の海域環境の変化にかかわらず,湾全体として高い漁場の生産力を継続して維持している要因の一つであると考えられる.
- 日本海洋学会の論文
- 1991-08-31
著者
関連論文
- 大阪湾に出現する赤潮プランクトン7種の海底泥からの発生に及ぼす温度の影響〔英文〕
- 大阪湾の貧酸素水塊(シンポジウム:貧酸素水塊)
- 大阪湾におけるリンの循環 : 形態別リンの分布特性
- 大阪湾の貧酸素底層水における無機栄養塩濃度について
- 大阪湾産カタクチイワシの成長にともなうPCBの体内蓄積
- 大阪湾の開発と海域環境の変遷(シンポジウム:望ましい大阪湾の海洋環境-環境改善への提言)
- シンポジウム「望ましい大阪湾の海洋環境-環境改善への提言」のまとめ(シンポジウム:望ましい大阪湾の海洋環境-環境改善への提言)
- 大阪湾の底泥中に含まれるリンの存在形態と溶出分画