対馬海峡を通過する対馬暖流の流動構造
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概要
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対馬海峡を通過する対馬暖流の流動構造を海峡周辺の水位及びダイナミックデプス・アノマリー(ΔD)のデータ解析によって明らかにした.日本沿岸に沿った水位の季節変化量(約20〜30cm)は日本沿岸域におけるΔDの季節変化量でほぼ説明できる.すなわち,対馬暖流は日本沿岸に捕捉された密度流の構造を持ち対馬海峡から南部日本海に流入していることが示唆される.一方,韓国沿岸の水位の季節変化量(約10cm)は日本沿岸の季節変化量に比べて非常に小さく,西水道におけるΔDの季節変化量(約20cm)では説明できない.このような水位の季節変化の違いは対馬海峡を通過する流れを地衡流と考え,夏季の西水道内における傾圧流の卓越を考慮すると定量的に説明できる.しかしながら,この韓国沿岸域における水位の季節変化が小さいという特徴は海峡内だけでなく,朝鮮半島の東海岸一帯に拡がっている.このことは極前線の存在によって暖水の供給が抑えられた北部日本海海域の水位が低く,強制的に韓国沿岸域の水位上昇を抑えている可能性を示唆している.それゆえ,対馬海峡内の流れは上記の南部日本海と北部日本海との水位差を駆動力としていることが推測される.
- 日本海洋学会の論文
- 1991-02-28
著者
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