送風機の音響パワーレベル測定
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概要
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空調ダクト系の騒音制御を目的とする場合、その最大の音源である送風機の発生騒音としては、送風機からダクト内に放射される騒音の音響パワーレベルを測定する必要がある。その測定方法としてダクト内法、準自由音場法および準拡散音場法などがあり、本学会規格である"HASS110-1990送風機の音響パワーレベル測定方法"に規定されている。しかしながら、これらの測定方法を用いて得られた送風機の音響パワーレベルをまとめた設計基準となる基本的な資料は国内にはなく、使用する送風機をその都度測定するか、または、一般的にASHRAE(American Society of Heating,Refrigerating and Air-Conditioning Engineers,Inc.)による基本パワーレベルを用いるのが現状である。ASHRAEの基本パワーレベルは、AMCA(Air Moving and Conditioning Association)Standard 300-67の置換音源法に基づいて測定された送風機の音響パワーレベルより求められたもので、送風機の種類によって基本パワーレベルが定められており、流量および圧力がわかれば送風機の音響パワーレベルを求めることができる。しかし、これらが国産送風機について適合するかどうか定かではない。1990年のHASS110の改正に伴い、26台の国産送風機の発生音パワーレベルを測定し、基本パワーレベルを求める機会を得た。そこで、本論文では、まず、2種類のダクト内法で送風機の発生音パワーレベル測定を行い、残響室法によるそれらと比較した。そして、ASHRAEに記述されている送風機の運転効率および翼通過音による補正値の国産送風機に対する適用性を検討し、残響室法で測定した4種類の国内送風機における発生音の基本パワーレベルの平均値と標準偏差を求めASHRAEのそれらと比較した。その結果、以下の結論が得られた。1)送風機発生音パワーレベルの測定方法を比較すると、低音域では残響室法よりもダクト内法の方がパワーレベルは大きく、中音域においては両者の差は小さくなり、高音域になるとHASS110-1980のパワーレベルは残響室法のそれらより大きくなり、BSのパワーレベルは残響室法のそれらより小さくなる。2)HASS110改正案AおよびBのパワーレベルは、全周波数帯域においてほぼ一致する。HASS110-1980と改正案とでは、中音域において後者のパワーレベルは前者のそれより3〜4dB大きくなるが、他の周波数帯域では1dB以内の差でほぼ一致する。3)国産送風機の設計用基本パワーレベルを求めた。それらの基本パワーレベルに翼通過音の影響が現れている送風機の数は少なく、影響が出ているものも補正する周波数帯域がASHRAEの式から求めた周波数とは異なるものがある。4)ASHRAEの送風機の運転効率による補正値Cを用いると、送風機発生音の基本パワーレベルに差を生じるものと一致するものとがある。5)国産送風機(斜流送風機は除く)発生音の基本パワーレベルは平均値で見ると、全体的にASHRAEのそれらより大きい。6)前曲羽根、後曲羽根および斜流送風機における発生音の周波数特性は、低音域から高音域にいくにしたがってだんだん小さくなる右下がりの特性を示す。また、軸流送風機における発生音の周波数特性は、250〜2000Hz帯域の中音域が大きい山型の特性を示す。
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 2000-01-25
著者
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