グルコースでじゅん致された活性汚泥の回分式好気性消化
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概要
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活性汚泥法では大量の余剰汚泥が発生しその処分が問題となるため、離島や僻地の小規模排水処理設備における余剰汚泥の処理方法としては装置の簡単さ、維持管理の容易さ、あるいは臭気の問題などから好気性消化法が適していると考えられる。我々は松山市下水道中央処理場の余剰汚泥を用いて回分式好気性消化の実験を行ってきたが、汚泥の最終分解率や分解速度の測定値は実験の度に少しずつ異なった。これは、実験に使用した汚泥の性状がその採取時期によって異なっていたことが原因していたと考えられた。そこで我々は、先にグルコースとペプトンを基質とする合成排水を用いて5〜40日の汚泥令でじゅん致した活性汚泥を用いて回分式好気性消化の実験を行い、汚泥の最終分解率や分解速度などに及ぼす汚泥令の影響について検討した。今回は、グルコースのみを基質として、回分式活性汚泥法により種々の汚泥令でじゅん致された活性汚泥および下水処理場の余剰活性汚泥を用いて回分式好気性消化の実験を行い、次のような結果を得た。1)消化槽中のじゅん致汚泥のVSS/SSの値は消化が進んでもほぼ一定値(0.9)を保つのに対し、下水処理場の汚泥は消化とともに減少する。2)VSSは消化の進行とともに低下するが、汚泥令の小さい汚泥ほど速く低下し、汚泥の最終分解率も汚泥令の小さいものほど大きい。3)汚泥の分解速度は、分解可能なVSSに比例し、その分解速度定数は汚泥令が小さいほど大きくなり、下水処理場の分解速度定数が最も大きくなる。4)活性汚泥の組成をC_5H_7NO_2とした好気性消化のモデル反応式を用いることによって汚泥の分解速度と酸素利用速度がじゅん致汚泥、下水処理場の汚泥の両方に対して関係づけられた。5)じゅん致汚泥のSV_<30>は好気性消化することによってわずかではあるが小さくなり、汚泥の沈降性は良くなる。下水処理場の汚泥のSV_<30>は初め極めて高いが、消化の進行とともに急速に減少し、じゅん致汚泥の値と同程度になる。
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 2001-01-25
著者
-
川崎 健二
愛媛大学大学院理工学研究科 物質生命工学専攻
-
松田 晃
愛媛大学大学院理工学研究科 物質生命工学専攻
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川崎 健二
愛媛大学工学部 応用化学科
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川崎 健二
愛媛大学工学部
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松田 晃
愛媛大学工学部 応用化学科
-
大森 大輔
ダイキ(株)環境機器カンパニー技術センター
-
佐竹 純一郎
ダイキ(株)環境機器カンパニー中央研究所
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大森 大輔
ダイキアクシスr&d統括部 開発部
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松田 晃
愛媛大学工学部応用化学科
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