孤立性乳頭腫との鑑別を要した乳頭型扁平上皮肺癌の1例

概要

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背景.乳頭型扁平上皮癌は,扁平上皮癌の特殊型の一つであり,乳頭腫との鑑別を要する稀な疾患である.我々は,生検では乳頭腫との鑑別が困難であった乳頭型扁平上皮癌の1症例を経験した.症例.68歳男性.アルコール依存症で入院加療中,2008年11月に発熱を契機に施行した胸部単純写真で右上肺野に異常陰影を指摘,胸部CTにて右上葉支内に軟部組織濃度の腫瘤性病変と末梢の閉塞性肺炎を認め,当院に紹介受診.喫煙歴は20本/日×50年.中枢病変の確認のため気管支鏡検査を施行,右上葉支内に突出する表面顆粒状のポリープ状腫瘤を認めた.初回生検では異型扁平上皮乳頭腫の診断であったが,構造異型を認め肺癌の可能性を完全に否定できないとのことから,診断目的に高周波スネアにて切除を施行した.腫瘍基部はB^3気管支入口部付近にあり同部から中枢側へ進展しており,最終組織診断は乳頭型扁平上皮癌であった.社会的要因から,その後追加治療を行わず経過観察している.結論.乳頭型扁平上皮癌の診断は生検検体量が少ないと乳頭腫との鑑別診断が困難である場合もあり,高周波スネア切除などによる組織検体が必要である.
2010-11-25