在宅重度要介護高齢者の排泄介護における家族介護者の負担に関連する要因
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
在宅において家族介護者の90%が排泄介護を行っており,介護負担の大きな要因となっている。特に,重度要介護高齢者の排泄介護における負担は大きい。本研究は,在宅で重度要介護高齢者の排泄介護を行っている家族介護者の身体的,心理的,社会・経済的3側面の負担を高める要因を明らかにすることを目的とした。家族介護者に自記式質問紙調査を行い,150人について分析を行った。身体的負担がある家族介護者が71%で最も多く,次に社会・経済的,心理的負担(それぞれ56%と50%)であった。3側面の負担の有無をそれぞれ従属変数とし,多変量解析を行った結果,下痢・便秘傾向は,社会・経済的負担(ORはそれぞれ6.89と3.69)を高めており,直接介護時間が長いことは身体的負担(OR=1.99)を高め,経済的に余裕がないことは心理的負担(OR=3.80)を高めた。介護にかかる時間や費用がかさむ下痢と便秘のような排便障害に対して,適切な対処ができるように訪問看護師が支援することは,介護者の身体的負担だけではなく,社会・経済的,心理的負担の軽減につながることが示唆された。
- 2011-01-31
著者
-
菊池 有紀
国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 看護学分野 博士課程
-
薬袋 淳子
国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 看護学科
-
島内 節
国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 看護学科
-
薬袋 淳子
国際医療福祉大 小田原保健医療
関連論文
- 遺族による在宅ターミナルケアのサービス評価
- 日本における地域看護学会の国際化への歩み (特集 日本地域看護学会の発展と課題)
- 口腔体操と高齢者の嚥下機能,身体,精神的健康への効果--介護予防支援事業の取り組みから
- 在宅重度要介護高齢者の排泄介護における家族介護者の負担に関連する要因
- 精神障害者社会復帰施設における看護師の健康相談の内容と利用者からの評価
- 後期高齢者における地域包括支援センターの利用と関連要因の検証--小田原市お達者チェックからの分析
- 在宅高齢者の終末期ケアにおける経過時期別にみた緊急ニーズ
- 日本在宅ケア学会の歩みと実践に伴う研究の発展 (特集 在宅ケア)
- 要支援から要介護3の後期高齢者の認知機能・うつ傾向・握力に対する二重課題の有効性 : デイサービスにおける「かぞえて体操」の実践を通じて