200 ton曳船の空中振動実験による付加水質量の推定について
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概要
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模型船による付加質量の測定結果は,水を完全流体と考える故理論上は実船のそれと一致する事は明らかである。従つて実船の空中振動実験から付加質量を推定する必要はない。然し小型の模型船では測定すべき振動数が非常に高くなり模型の振動に水が追従出来ない様な事が起り得るであろう。又F.M.Lewisが1929年の論文で暗示している様に模型船では表面張力の影響の大きい事も考えられる。その様な影響が大きければ模型実験の結果を修正する必要がある。そこで実船の空中振動計測から求めた付加慣性係数と模型船のそれとがどの程度一致するかを確かめておく事は意義があると思われるので次の様な実船実験を試みた。昭和37年5月25日門司港に於いて200ton曳船が運搬船に積載されるときの吊上げ操作中にこの曳船の空中における上下2節固有振動数及びそのモードを計測した。その結果と同船の水中振動計測値とを用いて付加慣性係数を推定した。一方同船の1/25スケールの船型模型の空中および水中の実験値から実船の計測状態に対する一二の修正値を求め模型船の付加慣性係数を求めた。実船と模型による付加慣性係数は大体に於て一致した。一方二次元ストリツプ法による係数と実験値とを用いて三次元修正値を求め,C.Kruppaの三軸楕円体のJおよびTaylorのJ等と比較した。以上の結果から船体振動付加質量の推定は従来通り船型模型による実験結果を信頼する事が出来る事および適当な三次元修正が必要である事を確認する事が出来た。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文
- 1963-03-30
著者
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