台湾のLomographa属(シャクガ科・エダシャク亜科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
これまで台湾のLomographa属は,特産の2種を含めて6種が知られていた(Inoue, 1992).本報では3未記録種を新たに加え, 3新種を含む10種を記録した. L. inamata (Walker)マエキシロエダシャク:インドから台湾,日本に分布する.スンダランドのものは最近別種L. luciferata (Walker)として分離された(Holloway, 1993). L. margarita (Moore):インドから台湾に分布する.台湾の特産種とされていたconspersa Wilemanは本種のシノニム. L. anoxys (Wehrli):台湾ではもっとも普通に採れる種.従来distans Warrenとしていたのは誤同定.インドから中国にも広く分布し,個体数も比較的多い. L. claripennis Inoueオオフタスジシロエダシャク:日本の特産種であったが,初めて台湾から記録された.2♀しか採れていない. L. rara Yazaki: Sungkang産の1♂で記載した新種.前種に多少似ているが,前・後翅の横脈紋が大きいことで区別できる. L. guttulata Yazaki: 台湾産の2♂1♀と中国(雲南省)産の36♂17♀で記載した新種.前翅の大きな横脈紋と,黒点列からなる外横線によって識別は容易. L. lungtanensis (Wehrli): 中国(江蘇省)から記載された種で,台湾からは初めて記録される.外観は日本のウスフタスジシロエダシャクに非常によく似ているが,雌雄交尾器はまったく異なる. L. perapicata (Wehrli): 台湾初記録種.ほとんど鱗粉の脱落した1♂しか採れていない.中国(広東省)産の1♂で記載されたもので, Bonnの博物館にもholotype以外には1匹しかないという珍品. L. percnosticta Yazaki: 従来ベトナムから記載されたatrinotapex Joannisとされていたが,明らかに別種であったので新種として記載した. L. platyleucata marginate (Wileman)ミツオビシロエダシャク: 和名は松村(1931)による. Inoue(1992)によってインドのplatyleucataの亜種とされた.この亜種は中国の四川省や福建省にも分布している.また陝西省から記載されたasynapta Wehrliは本種の別亜種と考えられる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1994-02-28
日本鱗翅学会 | 論文
- オオルリシジミの発生に及ぼす放牧圧の影響
- 日本鱗翅学会60年史(上) : 1945(昭和20年)〜1966(昭和41年)
- 緒方さんの思い出(緒方正美先生追悼特集)
- 私と鱗翅学会50年(日本鱗翅学会50周年特集(1))
- 「やどりが」誕生のころ(世界に躍進する日本鱗翅学会)