ムラサキトガリシャクとその近縁種
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概要
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ムラサキトガリシャクは石垣島産の3♀を基にINOUE(1976)によって日本のフォーナに加えられ,シッキムを基産地とするSarcinodes restitutaria(WALKER)の亜種yaeyamana INOUEとして扱われてきた.S.restitutariaはインド北部からスンダランドにかけて広く分布し,他にssp.perakaria SWINHOE[マレー半島],ssp.sumatmria(WALKER)[スマトラ]の2亜種が知られていた.最近restitutariaの模式産地周辺および東南アジア各地の標本を調べたところ,yaeyamana,berakariaおよびsumatrariaはそれぞれrestitutariaとは異なる独立種であることが分かった.本報ではこれらの4種を扱うとともに,タイ国とフィリピンからこれらに近縁と考えられる3新種を記載した.Sarcinodes restitutaria(WALKER)[インド,ビルマ,タイ国,ベトナム,マレー半島,スマトラ,ボルネオ]Sarcinodes yaeyamana INOUE stat. nov.ムラサキトガリシャク[日本,台湾,?中国]雄交尾器形態からは,本種がrestitutariaに最も近縁と考えられる.台湾の個体群はこれまでrestitutariaとして扱われていたが,明らかに本種であり,また朱(1981)によってrestitutariaとして図示された中国の標本は本種のように思われる.Sarcinodes perakaria SWINHOE stat. rev.[マレー半島]Sarcinodes flavicans sp. nov.[フィリピン(ミンダナオ)]本種および以下の3種はそれぞれ雄交尾器valvaの形態に著しい特化を示すが,aedeagusの形状は均質的で,いずれもrestitutariaよりもperakariaに近縁と考えられる.Sarcinodes sumatraria(WALKER) stat. rev.[スマトラ,タイ国南部]Sarcinodes variabilis sp. nov.[フィリピン(ミンダナオ)]Sarcinodes fortis sp. nov.[タイ国北部]タイ国北部でrestitutariaと混棲し,外観による区別は困難.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1988-12-20
日本鱗翅学会 | 論文
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