日本のカバマダラ : 1970年本州の2つの記録と渡りについての考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
カバマダラDanaus chrysippus LINNAEUS, 1758*は西はCanary群島, Africa大陸, Greece, Turkey, Arabia半島を経てAsia大陸の南部すなわちHimalaya山脈より南側一帯に分布し,東は中支,台湾, Philippines, New Guinea, Australia北部にまで達する広範な棲息圏をもったマダラチョウ科の1種である.台湾やPhilippinesでは土着しているが,琉球列島では多くの島から記録されているものの,必ずしも毎年越冬しているものではなく,また九州本島以北ではいわゆる偶産蝶や迷蝶と呼ばれているように,特殊な年を除いては夏から秋,特に8月以降に少数の採集例があるに過ぎない.本州では,これまでに西から山口,鳥取,兵庫,大阪,和歌山,三重,静岡,神奈川,千葉,長野,新潟の11府県で採集または目撃の記録があるのみである.筆者は1970年に三重県で1頭を目撃し,また静岡県で1♂を採集した.これらの例とともに本州での全文献例を集め,また周辺地区での採集例や観察との関連から渡りについて検討を加えたので,ここに報告する.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1971-12-31
日本鱗翅学会 | 論文
- オオルリシジミの発生に及ぼす放牧圧の影響
- 日本鱗翅学会60年史(上) : 1945(昭和20年)〜1966(昭和41年)
- 緒方さんの思い出(緒方正美先生追悼特集)
- 私と鱗翅学会50年(日本鱗翅学会50周年特集(1))
- 「やどりが」誕生のころ(世界に躍進する日本鱗翅学会)